アルバリーニョ

北海道から山梨に来てブドウの栽培方法の違いもいろいろとあるのですが、そもそも栽培している品種が違うことが当然あります。
旭洋酒における自社栽培のメインの品種(ピノ・ノワール、メルロー、シラー)は、どれも前職で栽培したことのある品種なのですが、岩手の自社畑で十数本植えられているスペイン原産の白ブドウ品種のアルバリーニョはこっちに来てから初めて見たブドウです。
アルバリーニョは「海のブドウ」とも呼ばれ、そのワインの風味には海を感じさせるミネラル感(とりわけ塩味)があることが特徴となっていて、世界的にも注目され始めています。
日本でも新潟県の海沿いの砂質の土壌で成功を収めて以来、雨量が多い地域や棚での栽培が向いていることから、全国各地に広まり続けています。

アルバリーニョにワンシーズン触れていると、やはりこの品種は前評判通り雨や病気にかなり強いことを感じました。
棚で作れる割に収量が少ないのが難点ではあるのですが、個人的には栽培の容易さはワインの品質に繋がってくると思っているので、このアルバリーニョは山梨でも将来が楽しみな品種だと期待を寄せています。

ただし、先述したようにアルバリーニョは「海のブドウ」と呼ばれるように、沿岸地域での栽培が一般に知られています。
海なし県で四方を山に囲まれた盆地の山梨では、ブドウの持つ個性を存分に発揮できるのか気になるところです。

それで今回、飲んでみたのが地理的に内陸部の盆地に位置する大分県の安心院ワイナリーさんのアルバリーニョです。


アプリコットやグレープフルーツ、カリンのような香りがあって風味豊かで、味わいも酸味こそ穏やかですが、すっきりとした爽やかな味わいでバランスが良く、素直に美味しいワインだなと思いました。
そして最も気になっていたミネラル感ですが、アフターにやや控えめにですが感じ取ることができました。

海沿いでなくてもこの塩味を感じるということは、アルバリーニョというブドウ自体がミネラル感を出す成分または前駆体を持っていると言えるのかもしれません。
少し調べてみるとコハク酸は塩味に感じるということもあるようなので、アルバリーニョは発酵過程でコハク酸を生成しやすいブドウ品種なのかもしれません。

ですが、内陸のものよりスペインや新潟の海沿いのアルバリーニョの方がこのミネラルを強く感じたことも確かです。
となると地理的な条件もやはりあるような気がしてなりません。

この辺りのことはなかなかはっきりとした答えは出せないのですが、内陸でも十分ポテンシャルの高い果実ができることが個人的には確信できたので、自社でのアルバリーニョのヴァラエタルワインが仕込めるほど収量を増やしていければと思います。