初めての傘かけ

6月下旬よりブドウの房に傘紙をかける作業が始まり、一週間かけて約27,000枚もの枚数を無事かけ終えました。

この傘かけの作業は初めてで、手先が不器用な私にできるのだろうかと思っていたのですが、一応ちゃんとできました。
あとは膨大な枚数をこなさなければいけないので、スピードアップが来年以降の課題ですね。

初めてこの作業をして教えてもらったのですが、この傘紙にはいろいろな種類があって、品種ごとに使う傘紙をかえたりしています。
使う傘紙を変えていくのは、当然目的が違うからではあるのですが、考慮していく点は以下のようになります。

まず第一に、傘は雨除けの役割を果たすので、房の大きさによって傘の大きさを変えていく必要があります。
ブドウについて何も知らない頃、私は雨が当たることでブドウが割れてしまうと思っていて、一応それもなくはないのですが、雨除けをする最大の目的は雨が病原菌やカビを媒介して、果実を腐らせてしまうからです。

第二に、太陽の日差しから守るため、傘の素材を変えていきます。
ブドウの果房は太陽の光をたっぷり浴びたほうが良い気がしますが、強い日差しを浴びると日焼けや高温障害を起こしてしまい捨てざるを得ない状況になってしまいます。

一番大きな要素は上記の2つなのですが、他にも傘の内側は湿度が上昇するので、必要であれば透湿性を良い素材を選ぶこと、光を反射する素材を使えばアザミウマ類などの防虫効果を得られることなどが挙げられます。

実際に甲府盆地を車で走っていると、色んな素材でできた傘紙を見ることが出来て、透明なプラスチックだったり、クラフト紙だったり、不織布だったりして、それぞれの農家さんの考えを少しだけ覗けるようでついつい気になってしまいます。
傘やビニールをかける必要のない北海道にいた頃は、そんな面倒なことまでしてブドウを作りたいのかと正直思っていたこともあるのですが、一房一房のブドウに向き合っている時間が確実に増えていると思うと、それはそれで悪くないとなと今は感じています。