vine-growers
ブドウ栽培者の紹介
仲平 一富
1979年 愛知県三河安城市生まれ。山梨大学工学部を卒業後、東京でコンピューター関係の仕事につくが、山梨の自然が忘れられず農家になる事を決心。2010年に空き家バンク制度を利用し、新婚の妻と共に山梨市に移住。県立農業大学校職業訓練課で夫婦そろってブドウ栽培と農家経営を学ぶ。旭洋酒がある山梨市日下部地区にブドウ畑を借り2011年に就農。最初に借りた畑が、旧旭洋酒組合員だった高齢農家が栽培を断念した畑だった事で鈴木と知り合い、その後、同様のリタイア農家の甲州畑をこちらから紹介、契約栽培を引き継いでもらう事になる。以来、ソレイユ甲州、ソレイユクラシック赤の原料を納入してもらっている。
国の助成制度などを利用し、親類縁者のいない地で、生活をギリギリ切り詰めてのスタートだったが、真面目で几帳面な性格で一歩一歩着実に地盤を固めていった。しっかり者の奥さん桃子さんには、ワイナリーのラベル貼りのアルバイトを2年間、長女の出産前までやっていただいた。現在では一女一男の父であり、空き家を卒業してマイホームも取得。シャインマスカットなど数種の生食用ブドウと、旭洋酒の甲州とMBAを栽培し、立派に生計を立てている。
真面目で、静かで、几帳面な方で、軽トラで400kgのブドウを納入する時もちゃんと2回に分けて来る。最初の頃、甲州で病気が多発し収穫量が激減した事があったのだが、反省点をきちっと踏まえて翌年からずっと、安定した量と質を保っている。これは生食用とかけもちの場合、実はとても難しい事。ブドウの手入れもきっちりしてくれるのだが、均一にピンクに色づいた甲州は、紅顔の美少年の雰囲気を残すご本人にどこかしら似ている。ワインについては興味が旺盛な方ではないと思っていたが、最近きくと手の届く範囲で買って飲んでいるそうで、その際「同じ値段ならアルコールが高い方を選ぶ」というルールを遵守しているとの事。合理的思考に感服です。
他県からの移住で経験もなく、まさにゼロからのスタートでここまで来ていてすごいと思うが、自分たち夫婦も他人からそうみられているかもしれない。でも実は今も綱渡りであり、いつもヒヤヒヤしているので、年の浅い彼らは尚更まだまだ大変だろうと想像がつく。お互いに楽しくやりましょう!