ヴー シリーズ コンセプト

SERIES VŒU CONCEPT

Vœu[vø]はフランス語で「願い」「誓い」「祈り」の意味。
小内光(おさないひかり)さんの作品「天使のオーナメント」に以下のメッセージを込めました。

私たちは日々ブドウとワインとに接しながら、自然による数々の制約や禁止に従いつつ、その恵みを享受しています。恵みとはただ収穫物を指すのではなく、ブドウの成長や発酵に接し、さまざまに想像したり考えを巡らしたりしながら「ものを作る」過程のすべてです。幾度となく収穫と仕込みを経験しても毎年驚きや発見があり、だからこそまた、来年も真摯に取り組みたいと思うことが出来ます。

生物の進化に大きく関わってきたという遺伝子の突然変異。知識と実践の積み重ねによって蓋然性を高めてきた「科学」と、この「偶然性」との完全にパラレルな関係が今後も変わる事はない。だからおそらく、人間が人間でなくならない限り、ウィルスに対して優位に立つ事は決してないだろう。コロナは非生物でも自然の一部には違いなく、実体のあるモノというよりは、自然から人間に向けての「忌避の要請」そのものではないだろうか。謙虚に受けとめ、科学の成果を最大限活用しながらも、実のところひたすらに避けるしかないのでは。

今、私たち酒類生産者を含め、飲食業界はかつてない危機的な状況に陥っています。もしこのままコロナが収まらなかったら、などと想像するだけでも恐ろしいですが、可能性はあるのだから覚悟しなければいけない。生きるために別のやり方を模索する事になるかもしれない。

家の「外」で食事をするという行為は、異文化体験の契機として、また酒と料理の多様性と調和を知る愉しみとして、そして職人の技と創意を前にし非日常に身をおく、あるいは他者にふれる時間として、アートにも通じる貴重な体験に違いない。自然の恵みの成果である酒は、そういう日常と非日常の踊り場にたゆたい、生を活気づけるものだと信じている。ワインの世界に身を投じたからには、この文化をやすやすと手放すわけにはいかない。科学の声に耳を傾け、形を変えながらも、私たちは私たちの、色どりに満ちた生活を守らなければならない。

このワインを飲む人、売る人、ブドウを育てる人。皆にひと時の慰めと希望がもたらされますよう。

エチケットについて

立体
小内光(おさないひかり) 天使のオーナメント

デザイン
明津(浅田農)

小内光(おさないひかり)
1993年新潟県生まれ。2011年より東京都在住。詩やテキストの執筆や本を出版することと並行して、土を焚火で焼き締めた立体物(土器)を制作、展覧会の形で作品の発表をしている。第18回中原中也賞最終候補(後藤ユニ名義)。主な著作に「300年のヒント」「わたしの虹色の手足、わたしの虹色の楽器」、またそれぞれ同名の個展がある。

 Instagram
@osanaihikari_works

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