想像をはるかに超える気候変動の影響を目の当たりにし、少しずつ変化をとげた私たちのワインづくりの思想。それを受けて昨年リニューアルした自社畑のヴァラエタル・ライン旭洋酒のきろくシリーズにメルローとシラーが登場し、ピノ・ノワールの新ヴィンテージを加えて3品種が出揃いました。
多品種をブレンドするアッサンブラージュ・ワインに比べて、その年の特徴が顕になるモノ・セパージュ*ワイン。そのシリーズ名を「きろく」としたのは、私たちがもはや、高品質を競って何らかの記録”record”を目指さない事を表明するためでもあります。エチケットデザインを依頼した版画家の雨宮千鶴さんがコロナ禍で一日一枚製作した作品群「日々の形跡」”Daily Traces”。まさにそのような姿勢で、過酷な状況下で実ったその年年のブドウと、それと共に生きた私たち自身の(最後の)年次記録”chronicle”として、このシリーズを可能な限り続けていきます。
*年によって15%以下の他品種ブレンドとなる事があります。
雨宮千鶴
版画家。山梨県山梨市生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。90年代より県内外の個展・グループ展で作品を発表。バルナ国際版画ビエンナーレ、Shinzaburo TAKEDA国際版画ビエンナーレ(メキシコオアハカ州立版画美術館)に出品。勤務する山梨県立美術館ではワークショップ「みんなでつくる美術館(みなび)」の企画、山梨人ねっこアートワークでは障碍者作品展の企画に携わる。
1996年山梨県芸術祭芸術祭賞、97年ぶどうの国の国際版画ビエンナーレ グランプリ。山梨美術協会、日本版画協会会員。